氷帝カンタータ





番外編 秘密のランデブー -プロローグ-





「おーめでとーぅござーーーいまぁあす!」


ある夕方のこと。
近所のスーパーでいつものように買い物をしようと、店内に足を踏み込んだ瞬間だった。

私を取り囲むように見慣れた店員さんが集まり、手に持ったハンドベルをけたたましく鳴り響かせている。
一瞬何か悪いことをしてしまったのかと身構えたけど、店員さん達の嬉しいそうな顔を見てそうではないと悟った。


「…あ、あの?」

「おめでとうございます!あなたは当ニコニコスーパーの記念すべき10000人目のお客様でーす!」

店員さんがマイクで店内放送しながら話すもんだから、入口付近に集まったおばあちゃんや奥様方も、つられて拍手をしている。

お…おお……恥ずかしい…!
こんなジャージみたいな姿で、このニコニコスーパーの記念すべき瞬間を迎えてしまったのが申し訳ない…!
これがわかってたらもう少しマシな格好してきたのに!


「あ、ありがとうございます。」


晒され者状態を一刻も早く脱出したくて、私は早口で返事だけして足早にその場を立ち去ろうとしたのだけど


「はい!それでは、こちらが10000人目のお客様への記念品でございます!USJ一泊旅行ペアチケットです!」

「え…まじですか!うわー!やったぁ!」

「彼氏と楽しんできて下さいね!皆様!これからもニコニコスーパーをよろしくお願いしまーす!」


ニコニコスーパーの代表者らしく、輝く笑顔で心にぐさりとくる言葉をプレゼントしてくれた店長さん。
微妙な笑顔で金一封を受け取ると、周りのおばあちゃんや主婦の方々の優しい拍手に包まれた。
「うふふ、若いっていいわねぇ」なんて声が聞こえてくるけど、私の頭の中で今現在共に旅行をしたい人ランキングに該当してるのは
オール女性。真子ちゃんか、里香ちゃんでも誘おっかなー、なんて考えてるんです。

彼氏なんて……っく…いいんだ、私には二次元があるんだ…!、負けない!

























「ということで、真子ちゃん一緒に行こうよ!今月の土日で空いてる日ない?」

「うわー…ものっすごく行きたい…絶対行きたいんだけど、今月は試合で予定埋まっちゃってる。」

「えええええ!え……ええええ!

、うるさい。」


スーパーから出て、速攻で真子ちゃんに電話をかけるとこんな残念な結果になりました。
絶対真子ちゃんとUSJとか楽しいのに…!一緒にジョーズの帽子とかかぶりたかったのに…!
そんでもって、ホテルで夜な夜な女子トークとかして、きゃっきゃうふふしたかったのに…!

涙で視界がぼやけそうになるのをグっと堪えた私、エライ。大人。


「……仕方ないね。真子ちゃんの活躍を祈ってるからね…!」

「ありがと。ごめんねー、も跡部君とかと楽しんできなよ。」

「真子ちゃん、跡部と旅行して楽しいことなんかあると思う?喧嘩して罵られて不機嫌になってフィニッシュだよ!

「…っぷ。でも、案外跡部君はノってくれるかもよ?」

絶対やだ。想像しただけで恐ろしいよ。あいつ感動が少なそうだもん、何に対しても。
 ジョーズとかで、サメがぶわぁぁって水から出てきても、表情一つ変えなさそうじゃん?
 それにほら、あいつ並べないから。資本主義の申し子みたいな奴だから、列に並ぶっていう文化がないんだよ。
 金払えばいいじゃねぇか、とか言ってファストパスをしこたま買い込みそうじゃん?並ぶのも込みで楽しいのにさぁ。」

「……まぁ、とりあえず誰か他当たってみなよ。じゃねー!」

「…がんばるー。」


真子ちゃんが駄目となれば…うん、残るはあと1人だけか。
自分の友達の少なさにちょっと引く。




「…あ、もしもし里香ちゃん?」

「え、さんですか?うわぁ、お久しぶりです!」

「久しぶりだねー!元気にしてた?」

「元気ですよー!あ、そうだ私最近ついにジムでベンチプレスに挑戦し始めたんですよ!

「…お、おう、里香ちゃんはどんどん逞しくなっていくね。」

「えへへ、早くさんみたいにかっこいい女の子になりたいです。…それで、今日はどうしたんですか?」

「あ、そうだ。あのねー、今月の土日とかって空いてたりしない?」

「今月…、今月は塾の講習で埋まっちゃってるんですけど…何かあるんですか?」

「うわぁ、マジか…。あのさ、USJ一泊旅行券が当たったから里香ちゃんと行きたいなって思って…。」

「え…えええええ!え…っ、さんが私を誘ってくれるなんて…嬉しいですー!うわー…ごめんなさい、肝心な時にお役に立てなくて。」

「いやいや、仕方ないよ。急な話だったからさ、気にしないで!」

え?うん、さん。…あ、さん?ちょっと精市君に代わりますね?」

なんで!?


里香ちゃんも駄目かと諦めかけた時、急に幸村君に交代宣言をされてしまった。


「やぁ、さん。久しぶりだね。」

「う…うん、久しぶり!どうしたの、今デート中?」

「はは、まさか。たまたま里香の家族が俺の家に遊びに来てたんだよ。」

「そうだったのかぁ、水入らずのところ邪魔しちゃってゴメンね。」

「別にそんな大した集まりじゃないから気にしないで。それよりさんとまた話せて嬉しいよ。」


電話越しでも伝わってくる、幸村君の笑顔…!そして殺傷能力の高すぎるとろけるセリフ…!
久々に幸村君の王子様気質に触れて、また沸々と立海の生徒になりたい病が発症してしまいそうです。
常に癒しを求めてるんです、悪魔の巣窟氷帝テニス部にはこういうヒーリング戦士が必要だと思うんです。


「…幸村君ってモテるでしょ。」

「うん。」

「……っぶふ。自分で認めちゃうところがまたモテるポイントだよね。」

さんも早く俺に惚れちゃえばいいのに、ね?」

「いや…え?え…いやいや、そんな幸村君にご迷惑をおかけするようなことは出来ません…。
 いいんだ、私は写真とか眺めてニヤニヤしたりするタイプだから。惚れるとかそういうのとは縁遠い人間だって…
 気づかされたから…テニス部に入って……っう…。


自分で言いながら、鼻の奥がつんとしてきた。っく…泣くもんか…っ!!
涙声になりながら必死に目から汗が流れるのを耐えていると、電話越しに笑い声が聞こえてきた。


「あはは…っ、相変わらず変だねさん。」

「……褒め言葉として受け取っとくよ、無理矢理。」

「褒めてるよ、もちろん。……それで、里香に何の用だったの?」

「え?あ…ああ。さっき、USJへの一泊旅行チケットが当たったから里香ちゃんと行きたいなぁと思って。」

「……へぇ、いいね。」

「でも、里香ちゃんも予定が詰まってるみたいでさー。うーん、どうしよっかな。」

「テニス部の人を誘えば?」

「…幸村君まで…。私と氷帝メンバーの関係性知ってるよね?一緒に旅行なんて行ったら絶対喧嘩になるもん。」

「…あ、でも…そっか。うん、やっぱりテニス部員は駄目だ。」

「うんうん。あいつらとアトラクションの列で待機するのとか、苦痛すぎるもん。」

「……そういうことじゃなくて、一泊なんでしょ?」

「ん?うん。ホテルで一泊付きだよ。あ、朝食バイキングもついてる!ラッキー。」

「……ふふ、さんて意外と鈍いんだね?」

「…どういうこと?」

「じゃあ、さんは俺が一緒に行きたいって言ったらどうする?」

「え。幸村君行けるの?行こう行こう!」


幸村君と旅行なんて楽しいに決まってるじゃん!
ずーっと御姫様気分でいられるんだよ?想像しただけでわくわくするじゃん!
リアル乙女ゲームのようなうはうはの1日になるに違いないじゃん!




「…そのかわり、いやらしいことするよ?」





















「っさ、さささささっささ先ほどの話しはやっぱりなかったことに…!」

「……っぷ、あははは。さんはやっぱり純情なんだね。面白い。」

「なっ…面白くない!からかわないでよ!私、平気で人を訴えるよ!?セクハラだよ!?

「とにかく、里香がダメだったからって男子なんて誘わない方がいいよ?」

「…う…うむ。まぁ氷帝のメンバーとそんなことになる訳はないんだけど…。」

「でも、旅行先で気分が高揚して…なんてこともあるからね、気をつけて。」

「………はい。」


幸村君はそう言うと、ふふっと笑って電話を切った。
…なんか、すっごく辱めを受けた気がする。幸村君の…いや、立海の人って皆王子様なんだけど、
どうしようもなく扱いづらい時…あるよね…!今見たいな性的な話とか…そういうの私、耐性ないから…。

氷帝ではそういう話に…なることもあるけど、私を女の子として扱ってはいないから楽なのかも。
立海の子達みたいに、こう…なんていうんですか、おこがましいかもしれませんが、口説かれる…こともないしね。
私がいようが、平気で下ネタを言いだすメガネとかもいることだし。

電話を切って考えた。
幸村君は心配してたけど、そんな男女のランデヴー的なイベントは起こらないと思うんだ、やっぱり。
とりあえず、1人で行くわけにはいかないし…。やっぱりテニス部の誰かを誘うことになるのかなぁ、
なんて考えていると、手に持った携帯から危険を知らせるサイレンの音が鳴り響いた。

…私がこの着信音を設定している奴はただ1人。


「…はーい。」

「おせぇんだよ、俺に何秒待たせる気だ。」

「なんであんたの彼女でもないのにそんな薄気味悪い束縛されなきゃなんないのよ!」

「おい、口を慎め。誰が彼女だ。」

「彼女じゃないっつってんでしょ!ほんっと日本語通じないわね!」


「でかい声でしゃべんな、ウザイ。」

「…っっ!…はぁ、もう何よ。何か用?」

「…来週の土日はオフだ。監督から連絡があったから、全員に連絡まわしとけ。」

「うわ、まじで!?ひぃやっふぅぅうう!じゃあ土日旅行行けるじゃん!」

「……旅行?」


神様が示し合わせたかのようなタイミングで、素敵な連絡がきたもんだから
跡部と話してることなんて忘れて盛り上がってしまいました。しまった。
眉間にしわの寄った跡部の不機嫌な顔が易々と想像できる、低い声が電話口から聞こえてきた。


「あー…。さっきさ、一泊旅行ペアチケット貰ったんだー。USJに御招待☆だってさ。」

「USJ…?」

「…何、跡部興味あんの?」

「…別に。」

「あー、そっか。昨日嬉しそうにジュラシックパークの映画を初めて見た!とか話してたもんね。」


昨日、部室で跡部がやけに嬉しそうな様子で忍足と宍戸に話してるから、何かと思えば
初めてジュラシックパークを鑑賞したらしい。…何年前の映画の話してるんだと思ったけど
余りにも跡部が嬉しそうなので、皆ちょっとニヤけ顔で話を聞いていた。
あの光景は、最近の氷帝テニス部の歴史史上5本の指に入るぐらい和やかな光景だった。
そんな普通の日常が異常に感じられるって、私も相当ヴァイオレンスな日常に慣れてしまってるんだな…。


「…で、誰と行くんだよ。」

「んー…それが、真子ちゃんも里香ちゃんもダメで…。……まさかとは思うけど跡部行く?」


自分でも何てことを口走ってしまったんだろうと5秒後に気付いた。
ほら、電話で長く話してるとボーっとしちゃうことってあるじゃないですか。
手に持ったペンでついつい落書きとかしながら、話し半分で聞いたりするときあるじゃないですか。
あんな感じで意識を少し手放した状態だったんです、猛省してます今は。


「…俺もまさかとは思うが、お前…行きたいと思うのか?

「すいません、なかったことにしてください。考えが足りませんでした。」


「……とにかく連絡まわしとけよ。」

「はいはーい。」

「あと…」

「何よ。」

「USJに迷惑かけるなよ。」

「どんな状況よそれ!USJに迷惑かける行動をこの可憐なちゃんが出来るわけないでしょ?!」

「いいか、人が食べてるモノを取ったり、パレードに紛れ込んだりするんじゃねぇぞ。

「…私は一体どういう人間だと思われてるわけ?」

「あと……。」

「もう、何よ!」

「……ジュラシックパークの帽子。」

「……は?」

「買ってこい。」


ブチッ


さっきまで憎まれ口を叩いてたかと思うと、最後に何やら可愛らしい要望を言い放って切られた電話。
…あい…あいつ、ジュラシックパークの恐竜の帽子…買ってどうするつもりなんだろう、かぶるのかな。
跡部が…あの帽子を…。っぶふっ、絶対おもしろい。私は2〜3時間程その画像だけで笑える自信がある。
まぁ、本人が欲しいって言うんだから買ってきてやるか。























「うん…えー。そうなんだ、じゃあ仕方ないね。じゃ、また明日ー。」


ふぅ…。
連絡を回すのもマネージャーの仕事。
順番としては3年生から順に電話していくんだけど…、最後に残ったのはぴよちゃんさま。
いっつもぴよちゃんさまは、電話かけると直ぐに出てくれるから楽なんだよなぁ。
がっくんとかジロちゃんは2・3日電話がつながらないことだってよくあるし。

それとなく、皆に連絡する時にUSJの話をしてみたりしたんだけど、どうもオフになるなら予定を入れたいらしく
皆、はっきりとオフの日は空いている、という返事はしてくれなかった。

うーん…これはもしかしてもうマジで1人で行くことになるのかな。
1人でUSJ…。アトラクションの行列を1人で待つ…か…哀しすぎる!

ダメダメ、あと1人いるじゃない。ぴよちゃんさまが……!








今までのぴよちゃんさまとの思い出を振り返りながら思ったのは、
ぴよちゃんさまが旅行に応じてくれるなんて…確率としては非常に低そうだな、ということ。

だって、ぴよちゃんさまが私と旅行に行くところなんて想像もできないじゃないですか?
アトラクションに並んでる光景ひとつ想像してみても…、私がひたすら話しかけているのを
iPodとか聞きながら読書にふけって聞き流すと思う、彼は。うん、それは1人よりも寂しいかもしれない。

…まぁ、でも誘うだけなら問題ないし。玉砕覚悟で言ってみるか。



PLLL..



「はい、日吉です。」

「ぴよちゃんさま、相変わらず電話出てくれるのが早くて助かるわー。」

「…部活の連絡ですか?」

「そうそう。来週の土日はオフになりましたー。監督が旅行行くからっていう理由らしいよ。」

「……わかりました。では。」

「あ!!!」

「何ですか?」

「ぴよちゃんさま、オフになった土日って何か用事入れる予定ある?」

「……今のところ特にはないですけど。」

「じゃさ、USJ行きたくない?」

「USJ…?大阪のですか?」

「そうそう!今日たまたま旅行のペアチケットが当たったから、一緒に行ける人いないかなぁ…って!」

「……旅行?泊まりなんですか?」

「うん。」














長い沈黙。1分ぐらいだろうか。
電話越しでも伝わってくる、ぴよちゃんさまの呆れ顔。


「…先輩、正気ですか?

「しょ…正気だよ!空いてるなら行こうよー!ぴよちゃんさまがダメだったら私1人で行かなきゃいけないもん。」

「…つまり、他の人は全員ダメだったんですね。」

「そうそう。立海の子にも電話してみたんだけど、駄目だった。」

「立海…?」

「ほら、里香ちゃんって覚えてるでしょ。あと幸村君もいたから誘ってみたんだけど……幸村君は駄目だと思った。私の本能が。」

「どういうことですか?」

「な…なんかー…一泊旅行っていうところに性的なニュアンスを加えてくるからさ、彼…。そういうの意識しちゃうと、ほら。ね。」

「………。」

「その点、氷帝のテニス部はそういうの気にしなくていいじゃん?だから皆誘ってみたんだけどねー…。駄目だった。」

「…で、俺が最後な訳ですね。」

「……え、いや別に順位とかじゃないよ?連絡網の順番的にね!」



また長い沈黙。い…いよいよぴよちゃんさまのお説教が始まるか…!?
ぴよちゃんさまスイッチ入ると止まらないからなぁー…。
こないだも箸の持ち方とか、靴の脱ぎ方について小一時間お説教されたもんなぁ。年上の威厳なしだよ、私。



「ぴ…ぴよちゃんさま?ごめんなさい、忘れてくれていいからね。」

「……いいですよ。」

「…え?」

「一緒に行ってあげてもいいって言ってるんです。」

「……ひゃ…ひゃあああ!何!ぴよちゃんさまどうしたの!電気ショックとか浴びた?!」

「…別に。急に休みになっても暇だからですよ。それにUSJって行ったことありませんし。」

「え…え…、や…やった…!!!え、ぴよちゃんさま、私いっぱい写真撮っていい?」

「何のですか。」

「ぴよちゃんさまがチュロス食べてるところとか。」

「駄目です。」

「じゃあ、ぴよちゃんさまがUSJの入口くぐった途端にキラキラした笑顔で走り回るところとか。」

「……想像できますか?」

「できない、ごめん。ちょっと妄想が出た。」


「……とにかく…、そういうことなんで。」

「うん…、うん!ありがとうぴよちゃんさま!楽しみにしてるね!」

「では。」



ピッ












「いいいぃぃっやふぉぉぉおおおお!ふぅーっ!ふぃぃぃばぁあああ!」


余りの嬉しさについ体が踊りだしてしまう。
隣のお部屋のお兄さんが、私の奇声に驚いたのか壁を殴ってきたけど気にしない!すいません、今日だけ許して!

だって…だって、まさかのぴよちゃんさまと旅行だよ!?
相手が見つかっただけでも嬉しいのに、それがさらにぴよちゃんさまって…!
シャッターチャンス満載!一日中あの綺麗なお顔を拝見できるなんて、なんというご褒美。
私、真面目に頑張ってきて良かった…。日ごろの行いの良さが引き起こしたミラクルですよね!

…幸村君が言ってた通り、旅行先で…普段周りにいるメンバーがいないということもあって
テンションあがっちゃって…あわよくば手とか繋げたらどうしよう!USJで手つなぎデート!
あ…あかーん!あかん、倒れてしまーうっ!

およそぴよちゃんさまの性格からして考えられないような、妄想を繰り広げていると
もう段々なんか恥ずかしくなってきて、床でジタバタと暴れてしまいそうになる。
自分でも引くぐらいテンションあがってる自分が恥ずかしい…!後輩と、しかも男女関係でもなんでもない、
ぴよちゃんさま曰く加害者と被害者の関係の後輩と旅行に行くだけなのに…年上の私がこんなに振りまわされて恥ずかしい!

でも…でも、エルモの帽子をかぶるぴよちゃんさまとか、
ジュラシックパークの急流すべりでいつものポーカーフェイスを崩してビビるぴよちゃんさまとか想像したら…



「ひゅぅぅうう!イェエエエエイ!盛り上がってまいりましたー!」



ドンッ


ジタバタしながら抑えきれない興奮を奇声として表していると、
もう1度隣から壁を叩かれてしまった。…すいません、そろそろ自重します。





だけど…だけどやっぱりね…






だけどトキめかずにはいられない。










高鳴る鼓動を抑えて、その日は布団にもぐりこんだ。