氷帝カンタータ





第16話 派遣ヒロイン(2)





「よし。ほなもう1回復習や。立海遠征3カ条言うてみ。ひとーつ。」

「…むやみやたらと暴力をふるわない。」

「ひとーつ。」

「…テニス部には近づかない。」

「ひとーつ。」

「…もしも人に見つかることがあったらお上品なお嬢様らしくふるまう。」

「よっしゃ、完璧や。ちゃんと実行せぇよ。」

「…私は小学生か!っていうか何よお嬢様らしくって!元から十分お上品でお嬢様なんですけど!」


立海遠征当日。
跡部に部室に呼び出されたので、来てみればレギュラー陣が全員そろってるではありませんか。
そして、そのレギュラー陣に囲まれながら屈辱的な3カ条を叩きこまれるというこれは何プレイなのでしょうか。

私の言葉にイラっとしたのか、ぴよちゃんさまがこちらを睨んでいます。
ちょ…ちょっと言ってみただけじゃん…相変わらず私のボケに対して異常なまでに神経質なぴよちゃんさまです。


ちゃん、やっぱり俺心配だC〜!」

「大丈夫だよ、ジロちゃん!神奈川に行ってもずっとジロちゃんのこと思ってるからね!」

「そういうことじゃなくてー、なんかちゃんがバカなことしちゃいそうで心配なの!」

「……ジロちゃん、いつからそんな風になっちゃったの。可哀想に、跡部のアホに毒されたんだね…。」


そっとジロちゃんを抱きしめると、脳天を貫くような拳が頭に落ちてきた。
第1カ条…むやみやたらに暴力をふるわない…この野郎にそっくりそのままお返ししたいですわ。


、わかってんだろうな。」

「わーかってますって、しつこいな!テニスコートに近づかなけりゃいいんでしょ!バスケ部は見るけどね!」

「駄目だ。レッスンが終わったら一目散に帰ってこい、誰にも見つかるな、しゃべるな。」

「………あんたさ、もしかして。」

「あーん?なんだ。」

「…私がいなくて寂しいから早く帰ってき…いってっ!いっ痛い!やめて!執拗なまでのローキックはやめて!


私が言い終わる前に無表情に蹴りをいれてくる跡部。
ちょ…こいつ本当むやみやたらに暴力ふるう代表選手じゃん!何が3カ条だよ!
なんでそんなに冷酷な顔で女の子の足に蹴りを入れられるのだろう、こいつは。
やられっぱなしは悔しいので脛にキックいれてやったら、全力でタックルされました。

自分がこんな風に男の子に押し倒される日がくるなんて思ってもいなかったな。


「…。」

「何よ。私、あんたに組み敷かれながら下から眺めるなんて屈辱的すぎて後3秒で禁止技繰り出しちゃいそうだからどいてくれる?」


っち、と言いながら大人しく私の上から離れた。
禁止技即ち男の子の大事な部分を蹴りあげる、というのはさすがの跡部でも逆らえない技のようです。
がっくんとかジロちゃんが「悪魔!」とか「鬼!」とか言ってるけど…
タックルされてるの見て笑ってるあんた達の方が鬼だからね…!



「何かあったらすぐ電話しろ。」

「…はぁ、わかったわかった。とりあえずいってきまーす。」


制服を整え、鞄を持って部室を後にした。
部室のドア前で全員が並んで口々にお見送りの言葉を投げかけてくれます。


ー!くれぐれも変態行為はすんじゃねぇぞー!」

「何かあったらすぐ電話してくださいね、先輩ー!」

「立海の可愛い子の写メ頼むでー!」


…なんか全然嬉しくないお見送りだけど、私のためにここまで心配してくれるのは喜ぶべきなのかな。
……いや、心配してるのは自分達の名誉だろう。っくっそ、なんで私が氷帝の恥部みたいな扱いされてんのよ…!






























電車に揺られて約1時間。
海が見えてきたー!と思ったら、電車内にわらわらと立海の制服を着た子達が乗ってきました。
あ、これぴよちゃんさまに言われた駅だ、降りないと。

電車に乗り込んでくる人の合間をぬって外に出てみると、いつもとは違った風景。
…氷帝の制服だからなのか、色んな視線が突き刺さっている気がする。
なんか制服でこんな見知らぬ土地に来るなんて、あんまりないから新鮮だなぁ。
氷帝テニス部は練習試合とかで他校に行ったりしないもんな。他校から来ることはあるけど。
野球部とかならさぁ、結構そういうのあるじゃん?私もそういうのしたかったなぁ…

早朝から駅のホームに集合なんだけど、マネージャーの私とちょっと気になってる男の子が先に着いちゃって
「皆おせぇな」とか言いながら、もじもじその場を過ごす…でも実はもうちょっと2人でいたい…
みたいなみたいな!甘酸っぱい青春っていうんですか!?そういうのしたかったなぁ…

そんなことを考えながら歩いていると、自然と顔がニヤけていたようで
さらに周囲からの視線は鋭くなっていた。









「おお…ここが立海…。すごいじゃん、なかなかデカイよ。」


うちの氷帝と比べるのもアレですけど、ここも中々素敵な学校じゃないの。
なんとなく、氷帝の制服で入るのがためらわれるけれども何も不審者なわけじゃないんだから…
きちんと榊先生を通して来てるんだから大丈夫だよね!よっし!

まずは、榊先生が話をつけてくれてると言う大田先生に会いに音楽室へ。

…音楽室へ。



やばい、わかんない。ち…地図とかもなさそうだし…誰かに聞くしかないのか…
いや、でも人としゃべるなって跡部に言われたしな…
…ん、いやいやいや!なんで跡部の言うことなんかに大人しく従わなきゃいけないのよ!
頭の中に憎たらしい顔でニヤつく跡部が思い浮かんでしまった、なんか悔しい。
私は誰からの指図も受けない!自分らしく生きていくと決めたのよ!

と、いうわけでそこら辺を歩いてる男子生徒を捕まえてみました。
でも一応氷帝の生徒のイメージアップを図るために、儚いお嬢様を演じてみることにしました。


「あ…あの、お急ぎのところ申し訳ございませんが…音楽室はどこにあるか教えていただけませんでしょうか…?」


口元に両手を添えながら可愛らしく問いかけてみる。
忍足あたりが見たら間違いなくどつきまわされそうな話し方にポーズだわ、我ながら。


「……ここの校舎の階段上がってすぐのとこだけど。」


明らかに不審者を見る目でぶっきらぼうに答えてくれた少年。あら、改めてみるとなんか可愛い。
とりあえず可愛い男の子は眼福なのでじっくり見つめていると、ぷくーっとチューインガムを膨らませ始めたではないか。
わー、可愛い。なんかこの子バスケ部っぽい、イメージ的に。なんかチャラいイメージね、いいね!
っていうかやっぱり、他校の制服っていいわぁ…。萌えるわぁ…。


「ありがとうございました…それでは失礼いたします。」


スカートの両端をちょこんと持ち上げ、私のイメージするお嬢様風の挨拶で別れを告げると
ますます怪しまれてしまいました。なんか眉間に皺よってますよ。
……うーん、お嬢様風って難しいよ跡部。








「……ここ音楽室よね?」


私は一旦廊下に出てもう1度教室の看板を確認する。
確かにそこには「音楽室」と書かれているが、居るはずの先生がいない。誰もいない。
何かの手違いかな?とりあえず榊先生に電話してみよう。


PLLLLL…


「はい、榊。」

「Oh…、先生…電話の出方かっこいいですね。」

か、どうした。」

「あの、今立海にいるんですけどね。音楽室に大田先生いないんですよー。」

「……折り返し連絡する。少しそこで待っていなさい。」

「はーい。」


ピッ


まさか…榊先生が日程間違えたとか…
いやいや、まさかね。だって私ここまで1時間もかけてきてるんだからね。

…とりあえず大田先生が遅れてるだけかもしれないし
私は先にピアノを弾いて待ってることにしました。ちゃん、えらい。






























「ほら、あれだ赤也。見てみろぃ。」

「えー、あ、本当だなんかピアノの音聞こえる。」

「さっき俺話しかけられたんだよ。あれ氷帝の制服じゃね?」

「そーなんスか?興味ないから知らねッス。」

「……ピアノうめぇ。」

「…。なんかいかにも柳生先輩が好きそうな女子っすね。清らかな女子ってやつ?」

「んー…でもなんか違う気がするんだよなーぁ。」

「っていうかブン太先輩!早く行かないと真田副部長にまた怒鳴られる!」

「…うぃー。」





遅い。

遅すぎる。

いくらなんでも大田先生、生徒を待たせすぎじゃない?
私がこの音楽室で待ち始めてから30分は過ぎてる。
榊先生からの電話もないし、どうなってるわけ!?


PLLL…


「お…、先生だ。…はいはーい!」

か。………。」

「何ですか、その間は。まさか…。」

「…あぁ。大田先生は本日急病で休まれているそうだ。」

「んなっ……なんですと…。」

「また後日埋め合わせはしてくださるとのことだ。」

「ちょ…じゃあ完全にムダ足じゃないですか!私ここに来るまで1時間かかってるんですけど!」

「ムダ足ではない。私からお前に任務を与える。」

「………いいです、いいです。もう普通に帰りますから。」

「立海はテニス強豪校だ。今後いつ立海とあたるかわからない。その時の為に調査してきなさい。」

「……先生、私跡部や忍足達に立海に素性をばらすなって厳しく言われてるんですが。」

「もちろんマネージャーということは隠してこっそり偵察してくるのだ。」

「………拒否権はありますか?」

「いってよし。」



ブチッ



なんかそんな予感はしてたんだよ…!
わざわざ榊先生がレッスンの為にどこかの学校に行かせるなんておかしいもん…!
いつもなら、フランスから呼んだ先生とか氷帝まで来させてるし…
…最初からこれが目的だったのかと思うと、急に腹立ってきた。

大体この世のテニス部というものに関わる事自体が億劫だ。
ん…待てよ、でもここの立海のテニス部は氷帝みたいに奇人変人の晩餐会のような状態じゃないかもしれない。
ちゃんと真面目そうな子達が在籍するテニス部かもしれない。
間違っても変なコールを強要したり無意味なメガネをかけてる奴なんていないかもしれない。

うん…うん、いいじゃん!そういうテニス部もあるかもしれないって!
とりあえず、そう自分に言い聞かせて私は音楽室を後にした。





キャーッ



イヤーッキャーッ




先ほどまでの私のポシティブ思考は宇宙のはるか彼方へ飛んで行きました。

だって完全にテニスコートを取り囲む声や人間が氷帝のソレと同じなんですもの。
おそらくこの立海のテニス部とやらも、イケメンと呼ばれるスター達がうじゃうじゃいるのだろう、
ということがギャラリーの女の子たちを見るだけでわかる。

やっぱりテニス部に近づきたくないな…と思った私は
少し離れた物置小屋?倉庫?の近くから、忍足に持たされた双眼鏡でテニスコートを偵察することにした。
(この双眼鏡で離れたところの美少女を見逃さずにチェックしろとのことでした。あいつ、バカだなぁ。)






「…調子乗ってんじゃないわよ!」

「抜け駆けすんな!」

パシッ




…倉庫の裏側に行こうとすると、これまた聞きなれたようなセリフが聞こえてきました。
……本当、どこの学校でもこういうことってあるんだなぁ。

とりあえず、現場を確認するために壁から少しだけ頭を出して確認してみると
どうやら1人の女の子を4人の女の子が囲んでいるようだった。
1人の女の子は壁にもたれて俯いており、恐らくさっきの音からすると頬でも叩かれたのかな?



「なんとか言いなさいよ!」

「あんた赤也君の何なわけ!?」

「………。……そ…その…私、切原君が…好きだか…ら…。」

「赤也君があんたなんか相手するわけないでしょ!?馬鹿じゃないの?」

「身の程をわきまえなさいよね。」


ガンッ



少女を威嚇するためなのか、いじめっ子の女子が少女のもたれている壁を蹴りあげる。
んー…可哀想に少女…!モテる人を好きになると辛いね!

でも、ここで私が出て行ったところで少女の為にはならないことも知ってる。
これは彼女が乗り切らないと、今後もこの呼び出しという名のイジメはなくならない。


「で…でも人を好きになるのは自由…だと思うから!」


お、顔をあげた。
儚げだけど可愛らしい女の子だ。切原君とやらもこんなに思われて幸せ者だなぁ。
ただ余計なファンもいっぱいいるみたいだけど。……どこぞのテニス部員みたいな奴じゃないことを祈るよ。


「生意気なこと言ってんじゃないわよ!」




そう言って1人の女が手に持ったバットを振りあげた所で、私の足が自然に動いていた。


ガシッ



「……あ…あんた誰よ!?」

「バ…バットはあきまへん!バットは!」

「………。」


泣きそうな少女を背に、バットを受け止める私。
…あ、なんかぴよちゃんさまが助けてくれた時のこと思い出すなぁ。


「部外者が学校に入ってんじゃないわよ!」

「いやー、あんた達見てると黙ってられなくてさー…。」


と、ここで私は思いださなけりゃよかったことを思い出してしまった。



立海遠征3カ条





むやみやたらと暴力をふるわない

テニス部には近づかない



もしも人に見つかることがあったらお上品なお嬢様らしくふるまう






「お…おほん…えーと、ご…ご機嫌麗しゅうお嬢様達。


もしもここで暴力沙汰を起こしたなんてことになったら
私はもう氷帝に帰ることが出来ないと思うので、必死にお嬢様らしく取り繕う。
…しかしバットを受け止めるお嬢様なんていない、ということがわかっていたのでしょうか。
目の前の加害者女子達は明らかに不審な目でこちらを見つめています。


「…あんた他校の生徒?」

「そ…そうですの、おほほ。今日はこちらの学校のお茶会に招かれましてね。」

「……何言ってんの、そいつ庇うならあんたも同じ目に合わせるよ?」

「嫌ですわ、お嬢様…。そんな物騒なもの振りまわしてる方に殿方は振り向きませんことよ。」

「う…うるっさい!!!」


あれだけ、あきまへん!って言ったのにまだバットなんて凶器を振りまわすなんて。
やっぱり女は怖い。


「あ…あぶない!」


とっさに、私の背に隠れていた女の子が袖をひっぱり、間一髪でバットを避けることが出来た。


「…ありがとう、あなた名前は?」

「え…え?…あの…里香です。」

「そう、里香さん。わたくし、見ての通り部外者ですの。」

「は…はい。」

「ですから、あなたを今助けても今後あなたが危ない時に飛んでくることはできません。」

「……。」

「でもね、あなたには負けてほしくないから。」

「………。」

「わたくしが今から、素敵な技をレクチャーいたしますわ。」


言ってて自分で鳥肌が立つ。
やっぱり私にお嬢様キャラは似合わないし、目の前で人が殴られてるのを見てやり返さないなんて無理。

どれだけ綺麗ごと並べたって、こういう奴らには1度痛い目見せないと。
氷帝テニス部マネージャーになってから痛いほど思い知ってきた。
この子たちを「同じ人間」だと思ってたら、やられる。
男の為なら動物のように凶暴になるこの子たちには、体で覚えさせるしか術はないのよ。




























「っくぁー!あっちぃー!」


部活で火照った体を冷やすために、テニス部員達は水道場で頭から水を浴びていた。
15分という短すぎる休憩時間を有効に利用して、今からの練習に備えなければならない。


「ぶわっ、おい赤也!こっちに水かかってんだろぃ!」

「さーせーん!はい、俺終わったんで柳生先輩使っていっスよー。」

「それでは、遠慮なく。」

「………あーれ?ねぇ、ブン太先輩。」

「なに?」

「…あれって…さっきの氷帝の制服の女じゃないッスか?」


水道場から大きな木を二本隔てて見えるのは、体育館裏の光景だった。
テニス部がよく使うこのスポットからはその光景がよく見える。
今まで幾度となく誰かが誰かに告白してる場面などを、この水道場から眺めては冷やかしていた。


「……行くぞぃ、赤也。」
















「里香さん!まずはこうですわ!これがアイアンクロー!

「ちょ…いったぁあぁああい!やめ…やめてぇえ!!」

「あ…あんた何してんのよ!やめなさいよ!」

「うふふぅ、里香さんこの技を使いこなすためには指の力が必要ですのよ。日ごろから指だけで腕立て伏せをすることをお勧めしますわ。


私が出した答えは、「里香ちゃんが今後虐められても対応できるように技を教える」という方法だった。
里香ちゃんはポカーンとした顔でこちらを見つめていて、その他女子はぎゃぁぎゃぁと騒いでる。

と…とりあえず暴力は振るっちゃってるけど「お嬢様っぽく」というところだけは守ってみようと
必死にお嬢様風の言葉でプロレス技をかけております。アンバランス過ぎてなんか笑えてきます。



そしてお次はバックチョーク!!

「ううっ…うっ…ちょ…やめ…!」

「でも里香さん!お気をつけあそばせ、この技は気管を締め付ける技でございますから本来は反則技です!」

「は…はい…!」

「ですから、ある程度相手の戦意を喪失させたらすぐにこの技はとくべきですわ!」


そう言って、ほんの3秒ほどでぐったりとしている女子を開放する。
…女の子にプロレス技かけたことなかったけど、なんか罪悪感がすごい…。



「ちょ…!大丈夫!?も…もうやめてよ、なんなのよあんた!」

「それを言いたいのはこっちですわ。4人で寄ってたかってバットを振り回される怖さをあなたご存じ?」

「……っ…。」

「まだブレーンバスターもお見せできますけど、どういたします?」

「………い…行くわよあんた達!」


地面で伸びる2人をつれて、去っていく少女達…。
…まだポカンとしてる里香ちゃん。





そして、何故か目の前に並ぶ男子数名。






え、誰?





「お前…やりすぎだろぃ。ずっとパンツ見えてたぞ。

「めっちゃかっこいいッス!なんスか、あんた!」

「…女性がそのようにはしたない行動をするのはいかがなものでしょうか…。」






えーと…どうしようかな…とりあえず…








PLLLLL……






『なんだ』

エ…エマージェンシー!!緊急出動よ、跡部!なんか少女達にプロレス技かけてたら男子達があらわれて
 仲間になりたそうにこちらをみつめている!どうする跡部!


『日本語しゃべれるようになってから出直してこい』



ブチッ



……電話して来いって言ったのあんたじゃなかったっけ?




「……跡部?氷帝の?」

「何、あんたテニス部なの?」




跡部を知ってる?
ということはこの子達は…テニス部ですか?

ふむ、確かにイケメンばっかり。
氷帝軍団とも張り合える顔ばかりじゃない。



…ってそんなこと考えてる場合じゃない。



「え…えーと…ご、ゴメンあそばせ!」





第2条  テニス部には近づくな





頭の中で赤の大文字で再生されたその言葉を思い出し
踵を返して逃げようとしたの


だけれども



振り返った途端、誰かにぶつかってしまった




「……氷帝のマネージャー、 の確立…100%」