氷帝カンタータ





第19話 ジャスティス





「……ちょ…、これ…。」


その日は月に一度の部室の大掃除の日でした。
自分の部屋か何かと勘違いした男たちが好き放題に使う部室は
1ヶ月も経つと、食べカスは落ちているわ、誰のものかわからない雑誌が散らばるわ、
それはもう目も当てられない状況になってしまうんです。

その状況を見兼ねた氷帝のナイチンゲール、 
誰に言われるでもなく、月に一度はこの部室の大掃除を自主的にやってあげてるというわけなのです。

これだけ働いても誰も褒めてくれません、甘やかしてくれません、見直してもくれません…!
だけど…だけど、私…私、へこたれへんっ!
そんな浪速のド根性精神で必死にお掃除をしていたのですが…


「…思春期…か…。」


私の目の前に積み上げられた雑誌の山は、明らかに年頃の男子に向けた破廉恥な雑誌。
それは部室の壁とロッカーの端の間の死角にひっそりと積み上げられていた。
…先月まではなかったのに、いつの間に…!

パラパラっとページをめくってみると、女性の裸・裸そして裸。
あまりこういうのを見慣れていない私は、少し眩暈を起こしそうになり、パタっと雑誌を閉じた。


「……誰のモノかな。」


こうなると、もちろん気になるのは「誰が」この雑誌を読んでいるのかということ。
この部室を使うのはレギュラー陣だけなので、私もよく知るあの子達の中に犯人はいる。
……なんだろう、このザワザワした気持ち。
なんていうか…普段あいつらと接する中で「思春期の男女」的なイベントっていうんですか?
ほら、そういうの皆無だから。意識したこともないから、こういう「性的な部分」を見るのが怖いっていうか…。

まぁ…でも考えようによっては…これがもしぴよちゃんさまのモノだとしたら…。
ふむ…。誰もいない部室で人目を気にしながらひっそりとエロ本を読むぴよちゃんさま…。
ふむ…ふむふむ、も…萌ゆる…!アリ!それはアリですぞ!

そっか、じゃあもしこれが、がっくんのモノだとしたら…
普段は性に無関心なフリをして無邪気ながっくんが、こっそりとエロ本を読んで
頬を赤らめていたとしたら……うん、素晴らしい!異議なし!


脳内妄想ですっかりアドレナリン大放出状態になった私は、もちろんこう思いました。


「…犯人はこの中にいる!真実はいつも一つ!」


犯人捜しをしよう。






























「…ということで、皆様部活お疲れ様でございます。」

「何なんだよ、ー。俺、お腹空いたー。」

「なんで俺らが正座させられなあかんねん。」

「お黙り!この可愛い女子マネージャーにあんな姑息な方法でセクハラするだなんて言語道断!」


ぶつくさと文句を言うレギュラー陣を、床に正座させ(跡部はソファで踏ん反り返ってる)
バシっと数冊のアダルティな雑誌を彼等の目の前に投げつけると、皆目が点になっていた。
……しらばっくれたって無駄よ!真実はいつも一つ!日本が誇る見た目は子供名探偵になりきって彼らを鋭い視線で睨む私。


「……、お前学校に何持ってきてんだよ。」

いや、私のじゃないに決まってるでしょ!この状況で何でそんな答えにたどり着くのよ!」

「だって…なぁ。だし。

「宍戸さん、失礼ですよ。」


苦笑したちょたが宍戸を咎めるけど、2人とも悪びれた様子はない。
…っく、私のことを男っぽい、男勝りだ、いや男そのものだ、なんていう戯言を普段からぬかす奴達ですが、
まさか…まさか私の性的趣向まで男と同じだと思われてるなんてショックすぎる。殴りたい。

…しかし、ここで暴れてしまっては冷静な判断が出来なくなるので一旦深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
落ち着け、。犯人を見つければいいだけの話だ…!



「これは、そこのロッカーの隙間から出てきました。皆目をつぶって下さい。
 自分のだと思う人は正直に手を上げなさい、今なら先生怒らないから。」


そう指示を出すと、素直に目をつぶる氷帝レギュラー陣。
…なんで本当にたまーにだけ素直になるんだ皆…かわ…可愛いじゃない…!

目をつぶっている無防備なぴよちゃんさまやジロちゃんを見てつい写真を撮りそうになったけど
ここでそれをすると、ますます事態がややこしくなる…!我慢っ!、我慢っ!



「……はい、皆さん目を開けてください。」

「…先輩、犯人はいましたか?」

「………犯人は…がっくんです。」

ちげぇし!!!手あげてなかっただろ!いや…っていうか、今のもし俺が犯人だとしても、そうやって公表するなら
 今の目つぶるくだり必要なかっただろ!バカ!マックスウルトラボンバーバカ!」

「っち…。違ったか。」

「嘘はアカンで。大体、岳人は巨乳モンやなくて制服モンが「うわああああああ!黙れ侑士!!」

「忍足、600円払うから後で詳しく教えて。」

「やめ…っやめろ、!俺の個人情報を売買するな、訴えるぞ!」


忍足の口を必死に抑えながら、顔を真っ赤にするがっくんが可愛すぎて…
可愛すぎてついニヤニヤしていると、益々がっくんに罵られてしまいました。
変態!っていうか濡れ衣だろ!キモイ!
そう連呼される度に、さらにニヤニヤする私を見兼ねたのか最後にはローキックを繰り出されてしまいました。

……良い。思春期男子をからかうの楽しい…!
もう犯人かどうかなんてその時の私はどうでもよくって、
「エロ本が君のなんじゃないか?」と問いかけられた時の、反応が見たいがために
全員に面談を行うことを決めたのです。いつでも私は自分の欲望に忠実なのです。

早く帰らせろ、くだらない、等と声があがっていますがそんなもん知ったこっちゃあらへんっ!!
ちょっとトラウマになりそうなぐらいの女性の裸見せられた私の身にもなってみろ…!
このぐらいのご褒美もらったっていいじゃないですか…!!




「はい、まずは1番怪しい忍足から座ってください。」


部室内のテーブルに1対1で向かい合って座り、他の皆はそのテーブルを取り囲むように座ってもらった。
さぁ、魔女裁判の始まりです。


「何で俺が1番怪しいねん。」

「どこからどう見てもあんたが怪しいでしょ!さぁ、正直に言えば許してあげますよ。」

「俺ちゃうし。まず今時エロ本なんか読んでるやつおるんか?」

「……いや、そりゃいるんじゃないの?供給があるんだからさ…。」

「はっ、は何も知らんねんな。」

「な…何よ、昔から思春期の男子と言えば河原に落ちてるエロ本拾ってドキドキするもんでしょ!?」

「古っ!それ昭和時代ぐらいの情報やろ。…とにかく俺は本じゃなくて動画派やから。」

「……動画?」

は知らんねんなぁ…。今は携帯とかパソコンで無料で見れる時代やで。」

「き…聞きたくない!そんな生々しい情報いらない!」


問い詰められても赤面するどころか飄々と答える忍足。
駄目だ…あんたはそういう部分が可愛くないのよ…!
聞けば聞くほど、なんか聞いてる私が辱められてるような…。
そのニヤっとした顔がまたムカツク…!!


「も…もういい、忍足は開放!次!宍戸。」

「えー、もっと聞いてくれてええねんで。あ、あとこの雑誌は俺の趣味とちょっとちゃうねんな。
 巨乳じゃなくてもっと足が「もういいって言ってんでしょ、バカ!」


嬉々として語ろうとする忍足を椅子から引きずり降ろし、嫌がる宍戸を無理矢理座らせた。
あいつ…あれ普通にセクハラだからね、ここが会社だったら全OLを敵に回す行動よ…!



「…こほん。さて、気を取り直して。自首しなさい、宍戸。

「何で決定なんだよ。違うに決まってんだろ。」

「…宍戸も、動画とか言うわけ?」

「……興味ねぇし。」

ダウトー!ダウトダウトダウト!興味ないことはないでしょ、知ってるんだからね。」

「な…何を知ってるって言うんだよ。」

「……ナース服。」

「なっ…!」

「……淫乱ナース「忍足!!!お前、言っただろ!」

「…うん、聞かれたから。あかんかった?」

駄目に決まってん………!!あ…そっか、別にに知られても…。」

「私に知られても?」

「別に、に良く見られようとは思わねぇし、むしろ見られても困るし別にいいかなって…。」

「ちょ…!なんで女子フォルダから除外するわけ!?ちょっとは恥ずかしがりなさいよ!」

「いやー…。うん、何か別にどうでもよくなってきたわ。

「っく…つまんない…!じゃあ、このエロ本は宍戸のモノってことでいいの?!」

「それは違う。俺は巨乳に興味ない。」


最初の態度とは違った意味で堂々と言い放つ宍戸を、同じように無言で椅子から引きずり下ろした。
……いいわよ…、別にあんた達には期待してない!
私は、ちょたが顔を赤らめるところとか、樺地がモジモジするのを見れればそれでいい!




「じゃ…じゃあ次は…跡部。」

「俺じゃねぇ。」

「座る前から弁解とは…怪しいわね、あんた。案外こういうの好きなんじゃないの?」

「馬鹿かお前は。」

「……じゃああんたじゃない証拠は?」

「…俺がその気になれば女の裸なんかいつでも見れる。そんな紙切れに興味ねぇよ。」

「き…きもいよぉ…涙が出そうなぐらい心底気持ち悪いよ、跡部…!」


そんな勝ち誇った顔で言われても…跡部が女の子を裸にする様子を想像しただけで…
な…なんか嫌だ!生々しすぎる!こいつなら本気で何人も脱がせてきてそうだ…!


「…………っは、お前にはまだ早かったか。ガキだからな。」

「っな…、何を大人ぶってんのよ!ほ、本当の大人っていうのはね、公の場でそういう破廉恥な会話はしないのよ。」


ふふん、我ながら上手く言い返せた。そうよ、そうやって経験を自慢したがること自体が子供なのよ。
私だって…まぁ、他人に裸を見せた経験すらないけど、やっぱりそういうのは中学生には早いと思うんですよ。
弦一郎さんがいたらきっと賛同してくれるだろう、私のこの考え方に…!
間違っても跡部や忍足みたいな猥褻物系中学生にはならないんだから…!


「…。この本の中見たか?」

「…ちょっとだけ。」

「お前もせめてこの女達ぐらいになれば女と認めてやってもいいぞ。」

「何で上から目線なのよ、それもうセクハラだからね!私が出るとこ出ればあんたの社会的地位なくなるレベルだからね!」


段々と話がずれてきたので跡部はもう開放しました。
まぁ…私としてもあの雑誌は跡部のじゃないような気がしてたから。
だって…跡部がこっそりあんな雑誌読んでるなんて…ホラーじゃないですか、世紀末すぎるじゃないですか。
釈然としないけど、きっと跡部の言うとおり…こいつは女の子に不自由してないと思うから。

それに、跡部が恥ずかしがる姿なんて怖くて想像もできませんし。
間違いなく可愛くない。そして間違いなく気持ち悪い。うん、想像するのやめよう。




「ではお待ちかねのジロちゃん。ちょっと来なさい。」

「えー、俺じゃないC〜。」

「うふふ、ジロちゃん恥ずかしがることないんだよ。ジロちゃんもそういうことに興味があるお年頃なんだよね?」


きっとジロちゃんなら、こういう風に問い詰めれば恥ずかしがるに違いない。
「ちっ違うC〜!俺、こ…こんなの興味ないもん!」みたいな感じで顔を真っ赤にしてくれるに違いない!
そうなの!私はそういうのが見たいの、さっきのがっくんのような反応を求めてるの!

ジロちゃんは本当に純粋に女の子のこと見てる気がするんだよね。
性的なこととか一切抜きでさ。そうじゃないと、ほら。私に普段いきなり抱きついてくるのとか説明できないじゃないですか。


「ん〜…今は別に興味ないかな〜。」

「今は…?え、どういうこと?」

「だって、毎日いつでもちゃんに触れるも〜ん!」

「……ん?」

「だからー、ちゃんに抱きつく時にお尻も触れるしおっぱいもさわれ「ジロちゃん!?」

「え?何?」

「何?じゃないよ!そ…そんな邪な気持ちで抱きついてたの!?」

「えへへー、ちょっとだけだよ?」


天使のような笑顔でいつも「ちゃ〜ん!」って抱きついてくるもんだから…
本当躊躇なく抱きついてくるもんだから、きっと女の子同士で抱きついたりするのと同じなんだと思ってたのに…
た…確かに今まで、ちょっと私の秘密の花園的な部分に触られてるかな?って思うことはあったけど、
それは本当にたまたま当たってるだけであって、ジロちゃん自身はそんなこと考えないって信じてたのに…!
出来ればそんな破廉恥なカミングアウト聞きたくなかったよ、でもジロちゃんは本当に正直者ですね…!

眩暈を抑えながら床にへたりこむ私を見て、がっくんや忍足が
、気づいてなかったのかよ」「ジローもモノ好きやな」なんてこそこそと話をしていますが
もう何も聞きたくない考えたくない…!私の中の天使像が崩壊してゆく…!


「……今日からジロちゃんはもう抱きつくの禁止。」

「えー!!やだやだ何で!」

「あた…当たり前でしょ?!ジロちゃん、それ私だからいいけど他の子にやったら犯罪だからね!
 町内会の不審者情報メーリングリストとかに載せられるんだよ!?

「……やだもん!」


そう言いながらまた抱きついてくるジロちゃんを、もう今までのような朗らかな心で迎えられない…!
ジロちゃんにそんな男の部分があったなんて…現実ってこんなものですか、お母さん…。

天使の皮をかぶった小悪魔ジロちゃんを引きはがし、私は残った望みをかけて樺地を椅子に座らせた。



「……樺地、私絶対怒らないからね。正直に言うんだよ?」

「……ウス。」

「この本に見覚えある?」

「な……ない…です…。」


そう言いながら、決して本を見ようとせず下を向く樺地。
いつも無表情な彼の耳までほんのり桜色に染まっているのを私は見落とさなかった。


「……っか…可愛い…!ごめんね、樺地!そうだよね、樺地なわけないもんね疑った私がオバカさんだったよ!」


緊張の所為かうっすら汗までかいている樺地が愛しすぎて、そっと抱きしめると
すかさず樺地の小姑、跡部が飛んできた。


「おい、樺地に触るんじゃねぇ。バカがうつるだろ。」

「……っふ。私より跡部といるほうがバカになりそうで困りますー。樺地が跡部みたいに
 跡部きんぐだむっ(笑)とか言い出したらどうしてくれるんですかー、責任とれるんですかー。」


ガッ


「ちょ…ぼ…暴力反対!…はんた…痛い痛い痛い!」


樺地に抱きつきながら、跡部を非難するとすぐさまアイアンクローが繰り出されました。
…こういう暴力的なところとか、本当樺地には見てほしくない。こんなんになって欲しくない…!
聡明な樺地ですからそんなことはないと思うけど…。




「……っく、とりあえず残るはあと2人…。はい、ちょた。」

「は、はい!」

「……まさか、この雑誌ちょたのじゃないよね?」

「もちろん違います!」

「よかった…私ちょたにはまだこういうの早いと思うんだ。そりゃ興味のあるお年頃だとは思うんだけどさ。」

「は…はぁ…。」

「ほら、ちょたの先輩はさ淫乱ナースとかが好きな変態だけどそれに染まっちゃだめよ?」

「おい、今それ関係ねぇだろ!」

「それで…ちょたはどういうのが好きなわけ?」

「……え、え?」

「やっぱりさ、マネージャーたるもの部員のそういう趣味趣向も把握しとかなきゃいけないじゃない?」

「いや、そんなの把握してるマネージャーキモすぎだろ。」


呆れた顔で口をはさむがっくんをギロリと睨み、黙らせる。
今は大事な瞬間なんです。ちょたの趣味が、陵辱モノとかだったら私はもうこの部室から飛び出してフェンスに飛び込みますが、
きっと可愛いちょたのことだから、メイドさんモノとか…ネコミミモノ…とかそういうのだよね!
ふぅー!照れながらそんなの答えるちょた想像したら、脳が踊り出すふぅー!


「…で?ちょたの趣味は?」

「こ…答えないといけませんか?」

「この本がちょたのものだと思われたくなければね。」

「いい加減にしてください、先輩。」


息を荒げながらちょたに詰め寄っていると、唐突に横やりが入った。
そこには殺気だった恐ろしいぴよちゃんさまが立っていました。うわー、めっちゃ怒ってる。


「…ぴよちゃんさま、私の日々の楽しみを奪おうっていうの?
 報われない重労働を課されている小公女ちゃんが、ちょっとぐらい何かを望んだっていいと思わないの!?」

「…鳳のソレを知ると先輩の日々の楽しみになるんですか?」

「うん。妄想って楽しいでしょ?」


戸惑いなくそう答えると、今度は生ゴミでも見つめるような視線で私を見下ろすぴよちゃんさま。
心なしか周りのレギュラー陣の目も冷たい気がする、何なんですか私が何をしたっていうんですか。


「…とにかく、それはこの中の誰かのモノではないと思いますけど。」

「……ぴよちゃんさまったら自分が疑われないように、先手をかけてそう言ってるんじゃないの〜?」


このこのぉっ、とぴよちゃんを肘で突きながら冷やかすと
小さくぴよちゃんさまの舌うちの音が聞こえました。おお、怖い。下剋上怖い。
どうやら、私の言動の全てがぴよちゃんさまのイライラの原因になるようです。


「わ…わかったよ…。もう犯人探しは辞めるから…。」

「わかればいいんです。」

「辞めるから、最後にぴよちゃんさまの趣味だけ教えて?やっぱり素人モノ?

「あかん!!、日吉にそのボケはあかんっ!!」



私が、ぴよちゃんさまの目の色の変わり具合に気付いた時には既に手遅れでした。

跡部でもちょっと引くぐらいの素晴らしいヘッドロックをお見舞いされた私は

恐怖の余り、ひたすら謝ることしか出来なかったのでした。


年頃の男の子って難しい。






























「…え、せ…先生の…モノだったんですか?」

「勘違いするな。生徒から没収したものを一時的に置いていただけだ。」


翌日、1人で部誌を書いているところに入ってきたのは榊先生。
何も言わずに、先日まで卑猥な本が置いてあった場所を見て首をかしげる先生に問いかけてみると、
なんとあの本は先生がこの部室に置いていったというのだ。

…これが知られたらあいつら怒るだろうなぁ。
だって言われもなく疑われたわけだし…、さらに皆の色んな趣味とかまで聞いて辱めてしまったわけだし…。

あの日、ぴよちゃんさまに制裁された後も、私…心の中では疑ってたもんなぁ、レギュラー陣を。
そんな疑いを携えたまま、どうあいつらに接したらいいのかわからなくてしばらく皆を避けてたら、
逆に今度は皆から尋問されたし。正直にまだ皆のことを疑ってる…と告げた時の彼らの般若のような顔が忘れられません。
そんなあいつらに、この事実を伝えるなんて……


サっと血の気が引くのを感じながら、例の本を先生に手渡すと無表情のまま部室から出ていった。



…うん、この事実は墓場まで持っていこう。私の身の安全確保のために。