青 … 宍戸
「なんで宍戸が青なの〜?」
「んー…帽子?」
「適当かよ!それなら忍足の髪の毛でも連想出来んだろ。」
「いや…なんていうんだろう、忍足は青っていうより…どどめ色?」
「どんな色やねん、ふざけんな。」
「…で、がっくん。これが何の心理テストなの?」
「ふっふっふー。…にとって宍戸は…。」
ゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
え、何。そんな真剣な話なの?
「…し、宍戸は…?」
「…………一番尊敬している人でしたーーー!!」
「よっしゃぁあああ!セーーーフ!セーフ!」
「ちょっと、どういうこと?宍戸のことなんか微塵も尊敬してないしむしろ見下してるんだけど。」
「に見下されるほど落ちぶれてねぇぞ、俺は。」
仁王立ちしてふんぞり返る宍戸を無性に殴りたくなる。
なんだこいつ、あんたのこと尊敬したことなんか…
「あ、待って。あるわ。宍戸を尊敬したことある。」
「ほら、言ってみろ言ってみろ。まったく、意外と素直なとこあんじゃねぇか。」
やけに嬉しそうな顔で頷く宍戸。
やめて、私の肩を叩きながら優しく促すのはやめて。
「この前宍戸が廊下でさ、女子同士が口喧嘩してるのを止めた時あったじゃん。」
「あぁ、あったな。意外だった、宍戸が人の喧嘩に口突っ込むなんて。」
あれは確か1週間前のことだった。
その場に?椹た私とがっくん、そして宍戸はその時の情景を思い浮かべていたが
それを見ていない忍足は不思議そうに口を開いた。
「へぇ…珍しいこともあるもんやな。」
「そうなのよ。でさ、その女子達になんて言ったと思う?
≪何で喧嘩してんのかしらねぇけど、顔が怖くなってんぞ。もったいねぇ。≫って。」
「ひゅー、かっこE〜じゃん宍戸ー!可愛い顔が台無しだぜ、ってことでしょ?」
「ま、まぁそんなとこだな。」
少し照れた様子で鼻をこする宍戸。
まだ、よ。別にそんなところを尊敬したわけじゃないの。
「でさ、その後女子2人がめっちゃ俯いてんのよ。」
「やるやん。宍戸のイケメン発言に赤面してたんちゃうん?」
「っへ、自然とモテる発言を出来る男は辛いぜ。」
「違うのよ、それがさぁ。
宍戸ずっとズボンのチャック全開でさぁ。」
先程まで得意気な顔をしていた宍戸が固まる。
一瞬空気が止まったが、次の瞬間には宍戸を除く全員が爆笑していた。
「っふ…っく…く、馬鹿じゃねぇのお前。あー、なんだっけ?≪激ダサだぜ≫?」
いつもそんなに笑いを表に出さない跡部までもが笑ってた。
おまけに宍戸がもっと恥ずかしくなるようなセリフまで投げかけて。
「いや、私は尊敬したよ。あぁ、宍戸の天然スキルって神様が与えた唯一の贈り物だなって。」
「…てっ…ってめぇ!馬鹿にしてんだろ、絶対!」
「いやいやいや、あの場面であんなハプニング、超おいしいじゃん!芸人になれるよ宍戸、超面白かったもん!」
「っぶふー!本当お前って昔からどっか抜けてるよな。」
「そうそう、まぁそこが可愛いんだけどね〜!ぷぷ!」
涙を出して笑うがっくんに、部室の床を転げまわって笑うジロちゃん。
それにつられて、私も当時の光景が脳裏に浮かび思いだし笑いをしてしまう。
「あの女の子たちもさ、宍戸がかっこよく、颯爽と去った後に2人して笑っちゃってさ。」
「…ふっ…ふふ、ま、まぁ無事仲直りできたんやろ?良かったやん、結果オーライやで宍戸。」
「う…うるせぇえええ!笑うな!もういいだろ、次だ次!!」