白 … 忍足



「なんか意外。侑士って1番白から遠いイメージじゃね?」

「いや…まぁ、確かにそうなんだけどさ…。」

「何ゆうてんねん、俺の清廉潔白なイメージにぴったりやん。」

「…忍足に対するイメージが≪無≫ということで…白紙を表す白にしてみた。」

「なんやねん、それ。もっと色々あるやろが!」


段々飽きてきたのか、跡部はソファに寝そべり
ジロちゃんもうつらうつらとしている。

私も忍足に対するイメージとか超どうでもいいしなぁ…。
結果もさほど気にならないというか。きっと「あなたにとってどうでもいい人」とかだろう。


「う…っわ…、キツー。」

「…ちょっと、キツイって何よがっくん。」

「…白でイメージする人は…が今…















 一番結婚したい人だって。

「異議ありっぃぃいいいい!!」

「なんや、心の中ではそんなこと思とったんか。」

「思ってるわけないでしょ!こんなの事実無根だよ!」

「深層心理ではそう思ってんだろ。と忍足かぁ。案外いい夫婦になるんじゃね?」

「ちょっと宍戸。あんた今どうでもいいと思ってるでしょ。」

「思ってる。」


っくそ…こんなとこに大きな罠が仕掛けられてたとは…
もうちょっと考えてイメージを選ぶんだった…!

椅子の上でニマニマと笑う忍足をキっと睨むと
思わぬ方向から横やりが入った。


「…と忍足の夫婦なんて、絶対関わりたくねぇな。」

「ちょっとどういう意味、跡部。」

「絶対ろくでもねぇ子供に育つだろ。」

「アホ、俺の子供やで。頭脳明晰・容姿端麗に決まっと…あぁ…アカンわ、の遺伝子が邪魔しよる。

「貴様どの口がそんな失礼なことほざくわけ?」



椅子の前に仁王立ちして睨んでやると
フゥっとため息をつく忍足。


「イヤやわ、こんな口悪い嫁。」

「私だって嫌だよ、忍足みたいな可愛くない奴。」

「でも侑士金持ちだぜ、絶対!医者になるんだろ?」

「まぁ、どうしてもって言うなら結婚してやらないこともないけど。」

「うわぁ、わかりやすい手の平の返しかた。」



ぶふっと噴出した宍戸。いや、しかしがっくんの言った「医者」というのは中々ポイントが高い。
きっと忙しくて家に帰ってくることもないだろうし…
そうなれば私は自由の身…


いやいやいや、駄目だ!愛のない結婚なんて悲しいだけだよ!


がどうしても、って頼むなら考えてやらんこともないけどな。」

「どうせ、考えるだけ考えてやっぱり無理とかいうつもりでしょ。」

「俺のことようわかっとるやん。」

「わかるわよ、あんたはそういう奴だもん。」

「おいおい、やめろよ夫婦喧嘩はよ。」


笑いをこらえながらそういう宍戸に、
面白いネタを見つけたかのように顔をキラキラさせるがっくんにジロちゃん。

うわ、面倒くさい…!


「そうだぜ!よっ、忍足 !」

「ちょ…やめてよ、縁起でもない!

「ひゅーひゅー!結婚式は俺達も呼んでね〜!」

「アカン、無邪気なノリやのに手出そうやわ。」


ガタっと立ちあがった忍足に、悲鳴を挙げながら逃げ惑うジロちゃん。わぁ、楽しそうで可愛い。



「あ、ちょっと待てよ…!、お前黄色のイメージに誰かいた?」

「へ…えーと…。」