賑やかな教室が並ぶ廊下の中で、
ひっそりとした雰囲気を醸し出している場所がある。
ここは私のクラスのお友達、占部さんが部長を務める占い同好会の教室。
「ようこそ、恋占い倶楽部へ!」
「あら、今日はさん1人なの?」
毎年2日目だけ出店するこの恋占い倶楽部。私はたった1人でそこへ足を踏み入れた。
おさげ髪に大きな眼鏡をかけた1年生らしき女の子が元気に出迎えてくれた。
その隣に座ってた占部さんがすかさず私に気付く。
「ちょ、ちょっとお忍びということで…。」
「あ。もしかしてさん…好きな人がいるの?」
「い、いや、そう言う訳じゃないんだけどね!」
意味ありげな笑みを浮かべながら、占部さんが教室の奥にあるブースへと進む。
10以上のブースはそれぞれパーテーション、カーテンで区切られていて完全に個室だった。
ひそひそと話す声だけがそれぞれのブースから漏れている。
…お客さんはそこまで多くないみたいだけど…、
この「恋占い倶楽部」は知る人ぞ知る、というか氷帝生女子の間では有名だ。
去年、ここで占ってもらった結果に従って意中の彼にアタックした子が見事カップルになった。
その他にも、ここの占いがきっかけで好きな人を見つけた子や、
占ってもらった後から、次から次へと告白されるようになった、なんていう子までいたらしい。
まさに恋愛のパワースポット!
去年は時間の都合が合わなくて訪れることができなかった。このご利益に溢れた場所に
今年は絶対行くんだ、と密かに心に決めていた。
私ももう3年生。
華の中学生生活もあっという間に終わってしまう。
今まで生きてきた中で、1人も彼氏が出来たことなんてない。
それどころか、好きな人とはっきりと言える人だっていなかったような気がする。
毎日、食う・寝る・遊ぶというジャンプ漫画の主人公にでもなれそうな生活をしている内に
周りの友達はどんどんオシャレになっていって、彼氏も出来て…さすがに私も焦りを感じていた。
そこで、この恋占い倶楽部だ。
もう目に見えない何かにすがるしかないレベルまで来てしまったのが哀しいけど
なりふりかまっていられない!とにかく、これをきっかけに恋愛運が上向きになりますように…!
「別に隠すことないのに。私、誰にも言わないよ。占い同好会部長の名にかけてね!」
シャっと黒のカーテンを開いた先には、いかにも占いっぽい感じで対面式に椅子が配置されていた。
奥に座った占部さんが、私をもう1つの椅子へと促す。
「いや、本当にそうじゃないんだ。どっちかというと、その"好きな人"を見つけてほしいというか…!」
「……へー…。」
こんな風に、まともに恋の悩み相談みたいなことを誰かに話したのは初めてで、変に緊張してしまう。
私の発言を受けて、少し目を見開く占部さん。
「…私、てっきりテニス部に好きな人がいるんだと思ってた。」
「いきなり占いの信憑性が不安になってくる発言だよ、占部さん。
いや、数名を除いて皆好きなんだけど、でもその好きはちょっと違うっていうか…。」
「……ふふ、それはまださんが気づいてないだけで…恋のつぼみはもう咲きかけてるのかもよ?」
なんだかポエティックな発言も、占い同好会部長が言うと説得力が増す。
…テニス部…はないと思うんだけどなぁ…。
希望としては、高校生になったらこんな素敵な王子様が現れます!とか、
そういう感じの占い結果が欲しい。少しでいいから未来に希望が欲しい。
そんなことを思っていたのが顔に出ていたのか、
占部さんは少し笑って、机の下から何やらノートのようなものを取り出した。
「じゃあ…、まずはさんにぴったりの彼氏ってどんな人なのかを占おうかな。」
「そういうの!そういうの待ってました!是非お願いします!」
「任せて。ではでは…、今から私がする質問に直感で答えていってね。」
「はーい!」
次のページから、2つの選択肢が出てきますのでそれを直感に従ってどんどん選んでいってください。 心理テストみたいなものですが、うめこが元々の診断内容を改変している部分もありますので結果の信憑性はあまりありません…。 お遊び程度にお楽しみください。診断結果は5種類ありますので、全部見つけてみるのも良いですし一発勝負も良いと思います。